「Netbookは、そろそろ終わり?」──そんな声が聞こえる2010年後半、NECは2010年PC秋冬モデルとしてミニノートPC「LaVie Light」シリーズをモデルチェンジして投入した。
【拡大画像や他の画像、ベンチマーク結果を含む記事】 【動画:キズを自己修復する「LaVie Light」のボディ 】
Lavie Lightシリーズの2010年秋冬モデルは、先代となる ro rmt
2010年夏モデルBL*50/BSからBL*50/CSと型番の末尾が変更されたのみで、一見するとマイナーチェンジに思えてしまうが、Lavie Lightシリーズとしては初となるデュアルコアCPUを搭載しただけでなく、1366×768ドット表示に対応する液晶ディスプレイやOSにWindows 7 Home Premiumを採用(上位のBL550/CS)し、いわゆる今までのNetbookの型にはまらない、“普通に使
えて、手軽に持ち運べるミニノートPC”として一新している。
今回は、この新型LaVie Light BL550/CSの使用感をチェックしつつ、NECのLaVie Light開発チームに「何が違うか、どこを見てほしいか」を中心とする進化のポイントを聞いた。
まずはBL550/CSの仕様を確認しよう。CPUはデュアルコアでHyper-Threading Technology(以下、HT)対応の
Atom N550(1.5GHz)を採用する。動作クロックこそ夏モデル BL550/BSに採用したAtom N470の1.83GHzから下がっているが、デュアルコアであること、そして2次キャッシュも倍の1Mバイトを搭載しつつ、HTにより4つのスレッドを同時に処理できるため、クロックが下がった分を差し引いても潜在的なCPU処理能力は先代より高いといえる。
メインメモリは MBT
PC3-8500対応のDDR3 SDRAMを2Gバイト、ディスプレイは一般的なNetbookより高解像度となる1366×768ドット表示に対応する10.1型ワイドの液晶ディスプレイ(高輝度なスーパーシャインビューLED液晶パネル)を搭載する。通信機能にIEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LANとモバイルWiMAXに対応するコンボモジュールを搭載する。
従来モデルより継承する小 グッチ コピー
型ボディも、“よりモバイルで利用しやすいよう”デザインを一新した。従来モデルと比べ、幅は約5ミリ、奥行きは約18ミリ小さくなり、重量も約120グラム軽い約1.22キロ(大容量のLバッテリー搭載時。上位のBL550/BSは、このLバッテリーが標準で付属。下位モデルに付属するMバッテリー搭載時は約1.06キロとなる)と、小型?軽量化された。Lバッテリー装着時の動作 MBT 靴
時間は、先代の約8.4時間から約10.1時間と、より長くバッテリーで動作するようになった。
このほか、「スクラッチリペア」処理を施した天面パネルを新たに採用したのもポイントだ。このスクラッチリペア仕様の天面は、キズを自己修復する特性を持つ特殊なフィルムとともに形成しており、バッグへの収納時や使用中の接触など、使用しているといつの
間にか付いてしまいがちな細かなこすりキズを修復してくれるもの。今までは従来はLavie J(直販モデルではLavie G TypeJ)の一部のモデルでのみ採用されていた、やや高コストな仕組み(仕組みは異なるものだが)である。
●新技術でミニノートPCへの搭載が可能になった「スクラッチリペア」
新型Lavie Lightで、他社ライバル製品との差別化ポイ
ントとなるのが、この「スクラッチリペア天板」の採用だ。
以前より店頭販売向けのLavie Jの上位モデルでのみ、またNECダイレクトでは通常よりもやや価格が張るオプション扱いで展開していたが、なぜ、そのスクラッチリペアを低価格なLavie Lightシリーズに全面採用できたのか。NECのLaVie Light開発担当者に聞いた。
── なぜ、LaVie Lightに“
スクラッチリペア”なのでしょうか。
NECパーソナルプロダクツ PC事業本部商品企画開発本部 LaVie Light担当の三島達夫氏(以下、三島氏) モバイルノートPCには以前から「“持ち運ぶ”ためのノートPCなので、できるだけキズが付いてほしくない。そもそもキズが付かないようにしてほしい」というユーザーの声がかなり多くありました。
そこで、
2007年1月にNECの直販サイトであるNEC Directモデルとして、スクラッチリペア機能を備えた製品をまず開発?投入し、それを店頭モデルにも拡充させていきました。当時のスクラッチリペア機能は塗装で実現していましたが、この塗装膜は非常に柔らかく、部分的な再塗装などもできないなど、加工の難易度が高く、結果としてコストがかなりかかる特別なものでした
。これをそのまま数万円台のミニノートPCに採用するには、コスト的なハードルがかなり高かったのです。
NECパーソナルプロダクツ PC事業本部商品企画開発本部 技術戦略部の神尾俊聡氏(以下、神尾氏) そこで、Lavie Lightで新たに採用したのがフィルム化したスクラッチリペア機能です。
新たなスクラッチリペアは、フィルムを金型に密着さ
せ、天板の樹脂素材と一緒に成型する手法で加工するものとなります。フィルムにすることで樹脂成形時に絵柄なども入れることが可能になり、同時にエッジ部分の形状の自由度も増したことで、少量多品種生産への対応が可能になりました。従来の塗装に比べると加工の難易度を下げつつ、(コストを抑えるため)海外での製造も容易となり、製造コストを下げられる
ようになったのがポイントですね。
── もちろん、フィルム化も容易だったわけではないですよね?
神尾氏 もちろんやろうと思ってすぐできるものではありません。
塗装であれば、金属のマグネシウムボディへ高温での焼き付け塗装ができました。対して今回のスクラッチリペアは、フィルムの上にスクラッチリペア層を生成します
。ただ、乾燥温度を高温にはできないため、当初はスクラッチリペア層が剥離してしまう──などの問題も多々ありました。2液硬化やUV硬化といった策や製造工程を工夫することで、ようやく製品化できるまでの品質に達しました。
── 低コスト以外のフィルム化のメリットは?
神尾氏 フィルム化でこだわったのは、まず塗装と同等かそれ以上
のキズの自己修復性能を持たせることです。カッターナイフで力を込めて……など、スクラッチリペア層より深いキズは残念ながら自己修復できませんが、塗装とほぼ同等の膜厚を実現しましたので、普段利用する時にふと付いてしまうひっかきキズであれば今までと同等の復元能力を備えています。
ですので、このように──。ワイヤーブラシでこすっても大
丈夫です。すーっとキズが消えていくのが分かりますでしょうか。
※動画:キズを自己修復する「LaVie Light」のボディ
→plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1010/21/news017_2.html
神尾氏 なお、スクラッチリペア塗装は、工程上どうしても膜厚が変化しますので、表面が微妙に波打つ仕上がりになります。対してフィルムであれば、膜厚が均一
になるよう高精度に加工できますので、極めてフラットな光沢感が出せます。外観デザインやカラーリングのよさにもこだわるNEC製PCとして、この点は大きなメリットと思います。
このほか、ロゴや模様などをフィルムと天板素材の間に印刷できますので、強じんに保護されると同時に、塗装では再現しにくい高級感のある質感も演出できます。ちなみに
、鏡面インクを使うことで鏡のような仕上げも可能でして、天面の「NEC」ロゴがそうなっています。平滑さ、うっすらと入れた立体感のある格子柄模様、NECロゴ部分の鏡のような反射感など、ぜひ店頭で手にとって見てみてほしいですね。
●国内メーカーだからこそこだわった、ミニノートPC
冒頭でも触れたが、LaVie Lightの2010年秋冬モデルは
フルモデルチェンジを果たした。10.1型ワイドクラスの液晶ディスプレイを搭載するNetbookカテゴリは、同じく低価格志向となるCULV版CPU搭載ノートPCやその他ポータブルデバイスの台頭で国内市場は縮小傾向にある。この状況でなぜフルモデルチェンジなのだろうか。
── BL550/CSは昨今のNetbook/ミニノートPCとしてはずいぶん力の入ったモデルチ
ェンジに感じます。改めて今回のモデルの開発意図やポイントを教えてください。
三島氏 従来のNetbookで大きな不満点となっていたのが、1024×600ドット止まりとなる画面解像度でした。そこで今回の秋冬モデルは、1366×768ドットと、一般的なモバイルノートPCと同等の解像度をもつ液晶パネルを採用しました。一方で、重量1キロちょっとの軽量?コンパ
クトなサイズ感は捨てがたいというニーズは多数あります。Webサイトの閲覧やWebサービスなど、一般的なインターネットの利用がメインであれば、CPUパワーもさほど必要ない使い方のユーザーは多く、それをメインPCとして使われるシーンもいまや珍しくありません。Netbookサイズの中で妥協せず、現在のニーズに合致するものに仕上げるかをテーマに開発しま
した。
── デュアルコアAtomが登場した点も理由でしょうか。
三島氏 BL550/CSで採用したAtom N550であれば、YouTubeの720p動画もほかの作業を並行しなければ普通に再生できます。デュアルコア化され、ディスプレイ解像度に対しても必要十分なCPU性能になったと思います。
── このほか、アイソレーション仕様とキーボードの
デザインが大きく変わりました。こちらにはどんな意図があったのでしょうか。
三島氏 キーボードのアイソレーション化は、やはりタッチミスの軽減──使い勝手向上のための施策です。例えば、爪の長い方などは指の腹でキーを叩くことになるので、隣接したキーに触れてしまうのが減らせない傾向がありました。これはキーは単にキーピッチを広げたと
しても同じことです。
また、このサイズの中でキーピッチを広げると、どうしても一部のキーを小型化せざる得ないデメリットが出てきます。カナ入力のユーザーには申し訳ありませんが……、今回は19ミリの標準ピッチにするために主にローマ字入力を想定したキーサイズに工夫しています。「ー」など入力頻度の多そうなキーは小型化せず、カーソルキーや
「Fn」「Ctrl」キーもNEC標準のレイアウトに改めています。
あわせて、パームレストも滑りにくく、手のひらの汗を感じにくいディンプル加工を施したものに変更しました。これらを合わせて、以前のモデルよりさらに操作性が向上したと自信があります。
── このほか、開発において苦労した、工夫したポイントはありますでしょうか。
三島氏 まず、10.1型ワイドの液晶ディスプレイを採用する以上、ある程度ボディサイズが決まってしまいますので、その制約の中でどこまで小さくできるか──に苦労しました。ディスプレイがあるアッパーボディには無線LANなどのアンテナ類も入れるので、もうパズル状態でしたね。ちなみに、Webカメラはあえて外しました。Webカメラは国内だとあま
り使われていないようで……、その分、ボディの小型?軽量化とともに、使い勝手をより向上させてほしい──という日本ユーザーのニーズに沿った進化に力を入れました。
ユーザビリティという点で大きく進化したキーボードは、旧モデルと使い比べると間違いなく入力しやすく、タッチ感も良好だ。使用頻度が低い傾向にあるという「PgDn」「PgUp」キー(
従来モデルは独立配置)は「Fn」キーとの併用に変更しつつ、ほかのキーより1段下げて配置するカーソルキーを含め、一般的なノートPCのキーボード操作性と同じように、窮屈感なく扱える。
●ベンチマークテストの結果はそこそこ ただ、YouTubeの720p動画もしっかり再生できる
続いてBL550/CSのパフォーマンスをチェックしよう。
Windows 7のエクスペリエンスインデックスにおける基本スコアは2.9で、こちらはCPU統合のグラフィックス性能がやや足を引っ張ってしまった。それ以外はOSの基本機能が快適に使える基準となる「3」以上だ。CPUスコアは3.1で、シングルコアのAtomでは「3」を超えることがなかったことを考慮すると、定格クロックこそ低め(1.5GHz)だが、デュアルコア化で
CPU処理能力、そしてPC全体としてのパフォーマンスはしっかり向上している。
PCMark05、3DMark06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3でのベンチマークテストでは、スコアだけ比較すると少し微妙だ。PCMark05ではシングルコアのAtom N470搭載製品を上回るものの、CPUのコア数がリニアには反映されない3DMark06や、ほとんど反映されないFINAL
FANTASY XI Official Benchmark 3ではスコアが下回った。
とはいえ、体感値は異なる。より動作クロックの高いシングルコアAtom搭載PCと比較して遅い印象は受けないし、Windows 7 Home PremiumのAeroを有効にしても至って普通に使える(下位モデルのBL350/CWや一般的なNetbookは、機能制限のあるWindows 7 Starterがプリインストールされる)。また、
YouTubeでいくつかの720p(1280×720ドット、ノンインターレス)動画を再生してみたが、ほぼコマ落ちなく再生が可能あった。
もっとも、CPU使用率は80?90%程度まで上昇するので余裕があるとは言えないのが、再生さえ満足にできなかった一昔前のNetbookと比べれば、十分メインマシンとして使用できるレベルにはあると思う。
●国内メーカー
らしさがところどころに光る、ミニノートPC
LaVie Light BL550/CSの価格は、実売8万円台弱だ(NEC Directの直販価格は7万9800円から)。Atom N550を搭載する10型クラスのNetbookと比べると必ずしも安価ではないが、OSがWindows7 Starterでなく32ビット版のWindows 7 Home Premiumであること、オフィススイートも期間限定版でないOffice Personal 2010をプリ
インストールすること、そして、Windows 7が快適に動作する2Gバイトのメインメモリを標準で搭載することなどをふまえると、競合製品との価格差はぐっと縮まるといえる。そして、スクラッチリペア機能だ。キズが付いてしまうと所有満足度が落ちる──愛着が一気に失せることを1度は体験したことがあると思われる。こういった方向からの訴求は、日本ユーザーの
ことを深く理解し、日本メーカーだからこそできる“プラスアルファの安心感”の提供にもつながる。
Netbookは利用できるコアコンポーネントに若干の制約があるので、単純に性能面だけで他社製品と差別化を図るのは難しい。そこで国内メーカーのNECは、LaVie Lightを“ならでは”の技術、機能とともに、国内ユーザーのニーズを反映したミニノートPCに仕上
げた。モバイルWiMAXとともに使うモバイル中心の利用はもちろん、インターネットやオフィススイートもメインで使うミニノートPCとして満足度の高い製品になるはずだ。【坪山博貴,ITmedia】
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引用元:アラド rmt
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